移動もボタンで操作する「レバーレスコントローラー」とは。使用するメリット、左右同時押し時の挙動、など
※6/22追記:コントローラーに関する追加ルールが発表。こちらに別途記事を掲載しました。
カプコンが2019年5月24日、カプコンプロツアー(CPT)における使用禁止コントローラーに関する声明をツイートしました。
ツイートは、今週末開催されているCombo Breaker 2019のスト5部門における一部コントローラーの使用禁止と、今後は、CPTルールで答えられないものは現地大会ルールを尊重、ルールの改正も視野に入れている、といった内容になっています。
実際にどういった条件のコントローラーを指しているのか、具体的な内容は公開されていませんが、現在プレイヤー間で大きな話題となっているレバーレスコントローラーに対する声明であることは予想されます。ただ、同大会へ参加しているカワノ選手ツイッターによれば、レバーレスコントローラー全てが対象というわけではない様子。
タイトル問わず格闘ゲーム全体に影響する可能性もありそうな今回の問題。どの様な話なのか、少し調べてみました。
※上記画像はガフロ選手が個人販売している自作レバーレスコントローラー、通称“ガフロコン”。販売ページより。
レバーレスコントローラーとは
- Hit Box(ヒットボックス)に代表される、方向入力もボタンで行うコントローラーのこと。コントローラー基板を買えば自作することも可能。
- ボタンのみ操作のコントローラー全般をまとめてヒットボックスと呼ばれることがあるが、Hit Boxという名の商品も存在するため、ここではHit Boxは商品名、Hit Boxやガフロコンを含むボタン操作のみのコントローラーの総称をレバーレスコントローラーとしている。
- そもそもHit Box自体も、ゲーム機メーカーライセンス製品等の表記は見あたらないため、あくまで互換性のある自作コントローラーの一つと考えられる。
※参考:Hit Box公式サイト、ガフロ選手によるレバーレスコントローラー自作工程
レバーレスコントローラーのメリット
- 前後などの真逆方向の入力であっても、ボタンを続けて押すだけなので、本来レバー(方向キー)を傾けているニュートラルの時間を大幅に減らし、一部のコマンドを高速に入力することができる。
例:ダッシュ(66)、ソニックブーム(4タメ6+P)、前歩き~ガード(6→1)、しゃがみ~空対空(1→7+K)など。 - さらに、レバーでは構造上不可能な「逆方向(左右や上下等)の同時押し」が可能なことと「同時押し時の優先順位」によっては、コマンド入力においてニュートラルの時間を全く無くすことができる場合がある。
例:例えば左右同時押しで前方向が優先されるものの場合、「4タメ押しっぱなし6+P(&離す)」でソニックブーム(&溜め開始)、「4タメ押しっぱなし66+P」でソニックハリケーン(本来4タメ646+P)が完成する。
※参考:ガフロ選手によるレバーレスコントローラーメリット解説
逆方向同時押しの結果はどうやって決まる?
- 「コントローラー側」の優先順位か、そうでなければ「ゲーム側」の優先順位で決まる。
コントローラー側の逆方向同時押し優先順位はどうなっている?
- コントローラーによって異なる。「ニュートラル」にするものや「後から入力した方向」を優先するもの、そのまま「2方向同時入力」とするもの等がある。
- この話題で良く出てくる「SOCD Cleaner」は逆方向同時入力(SOCD:Simultaneous Opposing Cardinal Directions)された場合、ニュートラルにするのか、後から入力した方向にするのか等、どういう入力結果にするかを制御する仕組みのこと。
※参考:ハメコ氏ツイッター
ゲーム側の逆方向同時押し優先順位はどうなっている?
- コントローラー側で「2方向同時入力」のままの場合はゲーム側が動作を決定し、結果はゲームによって異なる。例えばPS4パッドで十字キーとアナログキーで左右同時押しした場合、『スト5』は1P・2P側どちらに居ても「相手方向への前進」、『鉄拳7』では「ニュートラル」、『DBFZ』では「十字キー入力優先」となる。
※それぞれトレモで確認。
逆方向同時押しができるものを禁止にすれば?もしくは自作コントローラーを禁止にすれば?
- そもそもPS4のパッドは方向キーとアナログキーを使って逆方向同時押しができる。
- 標準操作がキーボードと言えるPC版も存在している。キーボードはもちろんレバーレスコントローラー同様に逆方向同時押しができる。
- 規制した場合、自作コントローラー文化や、ハンドルコントローラーやピアノコントローラーといった変わり種のコントローラー使用者の排除に繋がってしまう。
※参考:瀬戸風味氏ブログ
ボタン増設という議題も
- 同じ機能のボタンを複数か所に設置するなど、ボタンの増設に関しては、レバーレスコントローラーに限らず、同じぐらい大きい議題と考えられる。
- むしろレバー増設という可能性も?
調べてみた結果、「ヒットボックスの可否」という単純な話でないのは間違いなさそうです。もしルールを決めるとして意見が割れそうな所は以下の通り:
- レバー(方向キー)の代わりとなるボタン入力操作の可否
- 逆方向同時押しした時のコントローラーによる挙動の違い
- ボタンの増設の可否
格闘ゲームの歴史的にレバー+ボタンのアーケードから始まり、十字キー+ボタンの家庭用、そしてキーボードのPC版も当たり前に遊ばれるようになった今、絶対という回答は難しそうです。ただ、もしレバーレスコントローラーが認められるのであれば、「コントローラー側では同時入力、ゲーム側が制御」というのが差が生まれづらく分かりやすいのでは、と個人的には思います。