格ゲーチェッカー

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2014年1月25日
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1/24『e-sports SQUAREプレス発表会』から、パネルディスカッション「日中韓のeスポーツが目指すもの」が特に興味深く、「eスポーツ」について知る良い機会でしたので内容を書き起こしました(格ゲーチェッカー)

タイムシフト(パネルディスカッションは20分あたりから)




イベントの概要は各ニュースサイトの記事をご覧ください

「あのウメハラも駆けつけた,e-Sports専用施設「e-sports SQUARE AKIHABARA」プレス発表会の模様をレポート - 4Gamer.net」
http://www.4gamer.net/games/073/G007372/20140124109/
「「e-sports SQUARE AKIHABARA」オープニングパーティーを開催! - GAME Watch」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20140124_632361.html?ref=twitter
「日本でイースポーツを普及するためには―「e-sports SQUARE」リニューアルオープンのプレス発表会にて梅原大吾氏や夏野剛氏らがパネルディスカッションを実施|Gamer」
http://www.gamer.ne.jp/news/201401240086/

■パネリスト紹介(紹介内容は放送から)

・【中国】リンユーシー(林雨新)氏
eスポーツブロードキャスティング会社で『WCG中国大会』メディアパートナーでもある「NEO TV」代表取締役社長

・【韓国】ウィ・ヨンクワン(Wi Young Kwang)氏
世界初のゲーム専門放送局『Ongamenet』にて多数のeスポーツリーグのプロデューサーを務め、
韓国におけるeスポーツ業界内で重要な役割を担う「Ongamenet」プロデューサー/ディレクター

・【日本】ウメハラ氏
世界でも指折りのプロゲーマー
そのプレイ映像は伝説として語り継がれるほど
「Daigo The Beast」として活躍

・キムソンファン(金聖桓)氏
韓国においてeスポーツ界を牽引
この度満を持して来日
e-sports SQUAREディレクター

・【モデレーター】:夏野 剛氏
株式会社ドワンゴ取締役
慶応大学教授
数社の取締役を兼任
ネットワーク産業のオーソリティ

ご注意

できるだけ意味が変わらないように気をつけましたが、認識の誤りなどあればお知らせください。
「>」から始まる行は、当方で追記した注訳やまとめです。


■中国eスポーツの現状(林雨新氏)

・eスポーツは中国では凄く普及している
『WCG 2013』には現地に 10万人以上の来場者
・視聴率も高く、P2Pのビデオ共有サイトでもeスポーツがコンテンツとしてチャンネルを持つようになった
・『WCG』では一日の視聴者数は 100万人以上、合わせて 1,000万のPVがあった
・賞金も高い(※)

>タイトルによっても異なるが、WCG 2013では個人戦のスパ4でも1万ドル(約100万円)


■中国から見て、日本でeスポーツが普及するためには何が必要か(林雨新氏)

・まずはプラットフォームを作ることが凄く大事。(プラットフォームを)作る為にゲームのメーカーや、運営側の力も必要。
メディアの力も凄く大事。eスポーツの素晴らしさ面白さをメディアを通じて色んな人に伝えることも凄く大事です
・日本のオリジナルのブランドの世界大会があれば、それが凄くローカル的な文化、eスポーツの流行りにも力になる。

>中国から見た日本での普及に必要なもの
>「プラットフォームを作る」、「メディアの力」、「日本独自の世界大会」


■韓国でeスポーツが普及した経緯(ウィ・ヨンクワン氏)

・IMFがあったときにPCバンが普及し、それとともにPCゲーム『スタークラフト(RTS)』が人気となりeスポーツが普及した。

ITmedia エンタープライズ - 「IMF危機でリストラされた人々がPC房経営に流れ込んだ」
>PCバンはネットカフェのようなもの。ただ日本のネットカフェ事情とは異なり、若者が集まって遊ぶところから、「PCゲーム版のゲームセンター」というイメージに近いと思われる。

・普及する以前には、日本の『ウイニングイレブン』が中心だったがPCバンが普及すると、PCゲームが普及するようになった。
・部屋で一人でゲームをしていた人が、外に出て(PCバンで)対戦ゲームをするようになって、それがテレビのコンテンツとして放送されるようになった。
・韓国で大会を開いた時に観客が10万人集まることもあった。
・地上波とケーブルテレビ(Ongamenetはケーブルテレビ)両方含めたテレビの視聴率が、男性10台、20台の全てで1位になったこともあり成功している。
メディアが積極的に動いているということで、視聴者が気軽に放送を見ることができる。
・韓国がeスポーツが発展している要因の最後のひとつは、プロゲーマーが芸能人のようなスターになっている
・(プロゲーマーについて1)年俸も2億ウォンを超すようなプレイヤーもできている
・(プロゲーマーについて2)企業もサムスン、KTCJといった韓国で大企業がeスポーツをサポートしている。。
・(プロゲーマーについて3)ファンも多くついており、女性のプロゲーマーの追っかけのようなファンも増えていて、
芸能人のように扱われることで、世界でトップ10に入るようなレベルを持つような選手の実力向上にも繋がっているのではないか
「男の子の将来なりたい職業 2位」に「eスポーツプレイヤー」が挙がったことがあるほど。

>韓国でeスポーツが普及した要因:
>「PCバンの普及によるPCゲーム・eスポーツの普及」、「メディアが積極的」、「プロゲーマーのスター化」、「大企業のサポート」


■日本のプロゲーマーの現状(ウメハラ氏)

・日本のプロゲーマーは「格闘ゲーム」がほとんど。
「格闘ゲーム」では海外にプロのプレイヤーもいて世界大会もある。(日本対海外のプロゲーマー同士の対決がある)
・「RTS」や「FPS」では(日中や日韓の)プロゲーマー同士の対決はあまり聞かない。
ただ、日本でも「FPS」「RTS」の日本のプロゲーマーが生まれるのも時間の問題ではないか。

>日本のプロゲーマー現状:
>「日本でも格闘ゲーム以外に、FPSやRTSのプロゲーマーが生まれるのも時間の問題」
>格闘ゲーム以外にも既にプロゲーマーと呼ばれるプレイヤーは存在した為、おそらくここで言うプロゲーマーは長期に渡りプロゲーマーとして生計を立て海外と渡り合うようなプレイヤーという意味だと思われる


■日本で普及するためには何が必要か(ウメハラ氏)

・(中国や韓国がメディアが必要というのに対して)その通り。
・自分が子供の頃に(ゲームに対して)暗いイメージや偏見を持たれていた、それを無くしてもらって
世界中で盛り上がっている、競技として成り立っていることを伝えるにはメディアのちからが大きい
・メディアも少しずつ取り上げつつある。
・(ニコニコで非常多くの人が見るゲーム実況も、メディアの関心も高い将棋電王戦も)見ている側のファンにとっては同じもの。

>日本で普及するために必要なもの:
>「メディアによって偏見を無くしてもらうこと」


■日本から見た世界のプロゲーマーシーン(ウメハラ氏)

・(中国韓国の)話を聞いているといいなあと思う。日本はそこまでじゃない
・(年収2千万円のプロゲーマーは)どうなんですかね、それはちょっと判らない(笑)
・空港の入国審査で、「ゲーム大会出てきた」といった時に、大会のことを知っている場合が多い。認知度が高い。これは日本ではあり得ないこと。

■日本League of Legends(LoL)プレイヤーの実力(キムソンファン氏)

・日本のプレイヤーは、日本サーバーが無い為アメリカのサーバーでプレイしている。
・eスポーツスクエアのLJLリーグに参加しているチームDetonatioN、Rampage、Rascal Jester、沖縄のトラはほとんど「ダイヤ1」級。
・韓国やヨーロッパの世界トップレベルは、ダイヤ1のひとつ上の「チャレンジャー」級。
・DetonatioN FMチームの「ゆたぽん」選手はプロレベルの選手でしか入れない「チャレンジャー」に初めて入ったことがある。徐々に発展していると感じる。

LJLリーグDetonatioNRampageRascacl Jester
>「Bronze、Silver、 Gold、Platinum、Diamond、Challenger」の6段階。Challenger以外は5~1に細分化される。参考:LoL 日本語 Wiki


■日中韓の3国間の交流関係について(ウィ・ヨンクワン氏)

韓国『Warcraft3(RTS)』界のムーン選手が、中国・北京オリンピックに聖火リレーに招待されて参加をした。それほど中国でも人気のある選手。
・こういったことからも、eスポーツが若者の間で世界交流ができる素晴らしい文化であることの証明になるのではないか。

■(夏野氏)将来的にはオリンピック競技としての採用?


■日中韓の3国間の交流関係について(林雨新氏)

・NEO TVが、韓国のムーン選手を招待して自社スタジオで試合をしたこともありますし、交流はありました。
・毎週オンラインで、RTSのゲームとか韓国のプレイヤーを招待してプレイしている。
・日本の『闘劇』も中国の選抜戦を中国で行ったこともある。
・中国と韓国の間の試合は多い。
・ただし、「格闘ゲーム」に関しては日中の実力差が大きく、イベントを続けることが難しい。
将来的に日本の「RTS」のプレイヤー実力が高くなれば、日中韓3国のイベントをすることも全然可能


■世界的に見たeスポーツの社会的地位ついて(ウィ・ヨンクワン氏)

現在韓国では囲碁などのスポーツと同じように、正式な体育種目としてeスポーツを入れようという動きがある
・それに加え、中国では体育種目として認められて入っていると聞いている。
・LoLのアメリカの大会ではスポーツ選手としてアメリカ政府がビザを発給して滞在している例もある。
・これらは世界的にeスポーツが正式な体育種目として入ってきているという状況を物語っていると思う。
・(学校の体育で選択科目になる?)保護者がゲームをすると勉強をしなくなるという抗議がありそうなので難しそう。

インサイド - 「米政府、LoLプレイヤーをスポーツ選手として認定」


■若者だけじゃなく、上の世代もeスポーツを始めるか(ウメハラ氏)

・競技性のあるゲームが流行ったのは、格闘ゲームが日本では初めてだと思う。
・その格闘ゲームをやっていた当時の20前後が今は40代だから、可能な話。
・(夏野氏)老化防止にも良い。すごい爺さんが格闘系で強いとかあったら盛り上がる。
・それを目指している。

>上の世代がeスポーツをすることも現実的な話である。


■中国におけるeスポーツの社会的地位ついて(林雨新氏)

・中国にはたくさんのタイトルがあるし、タイトルによって人気がバラバラ。
・現在中国のeスポーツでは『LoL』『クロスファイア(FPS)』『StarCraft』が人気。
・年齢層は18才ぐらいの若い層が多いが、『World of Tanks(FPS)』には40歳の選手も居る。

League of LegendsクロスファイアStarCraft IIWorld of Tanks


■(夏野氏)日本のeスポーツをはやらせるには、上の世代に(WoTのような)『FPS』をやらせるのは良いかもしれない。格闘系は若者がやって。


■30代・40代の世代について(林雨新氏)
・(ビジネスチャンスとして中韓の企業が、日本の30代・40代の中年を狙って年齢制限大会を開くのは)新しいアイデアだと思う

・スポンサー費用を決めている人が、30代・40代の世代だから、合わせればうまくいくと思う

■普及させる為に絶対これだけはやって欲しいという提案:韓国(ウィ・ヨンクワン氏)

・日本はアイドル文化、キャラクター文化が非常に発展している。そういった国は他にはない。ゲーム大国でもある。
・メディア・プラットフォームの他に、選手・プロゲーマーのアイドル化。
オタクっぽいイメージではなく、「格好良いアイドル」というメイキングがしていければ。
・(男女どちら)両方。
・(ジャニーズ VS AKBは盛り上がる?)はい。

>普及させる為には:
>「プロゲーマーの格好良いアイドル化」


■普及させる為に絶対これだけはやって欲しいという提案:中国(林雨新氏)

・メディア、情報の伝達が一番重要。
・どんなスポーツの大会でも、ちゃんとしたメディアの力が無いとただのオフラインのイベントになってしまう。
・情報の伝達にはいろいろな手段がある。芸能人、コンテンツ内容自体として色々ある。これは応援者たちの本心に寄ってそれぞれ違う(?)。
・韓国の意見に賛成、アイドルとか有名人と一緒に試合をすると人気が出やすいし普及に対しても良い。

>普及させる為には:
>「メディア・情報の伝達が一番重要」「アイドルとか有名人と一緒に試合をする」


■普及させる為に行いたいこと(ウメハラ氏)

(誰を育てたい)若い人にたくさんやってもらいたい。

■プロゲーマーの立場から普及させる為に絶対これだけはやって欲しいという提案(ウメハラ氏)

・ゲーム自体は面白いので、やっててもいい・熱中しても怒られない環境が作られるだけで勝手に人が増えていくと考えている。
・(夏野氏)今はPTAとか学校の先生に抑えられている?
・昔はゲームセンターでは帰らせられた。
・(夏野氏)風営法が厳しく、特にアーケードには18時以降(未成年が)入れない。
・当時は何時であってもゲームセンターに言ってはいけない、ゲームは1日○分までが長く続いていた。
・それが普通の趣味や競技として見てもらえたら。

>普及させる為には:
>「普通の趣味や競技として熱中しても怒られない環境が作られること」


■eスポーツをプレイする子供に対する親御さんの反応:中国(林雨新氏)

・親はあまり支持していない。
・ただし今の環境は前よりはずいぶんマシになっている。
・ゲームの解説者として凄く有名な人は一年間の年収 100万ドル(約1億円)もらえることがある。
・トッププレイヤーはそれよりももっと高い年収をもらうことができる。
・中国のプロ化は韓国よりは進んでいないけど、関係者たちの収入は凄く近い。
・ということから、これから親御さんたちは子供にたいして、そこまで反対しないと思う。

(夏野氏)稼げるようになると親は(ゲームの事を)認めるようだ。

■eスポーツをプレイする子供に対する親御さんの反応:韓国(ウィ・ヨンクワン氏)

・韓国でも今は過渡期だと思っている。
・親はゲームをそんなに好きではないが、プロゲーマーになってお金を稼いでくれれば、親も喜ぶと思う。
韓国では政府がゲームに対する規制をかけたりするが、それと同時に現・韓国eスポーツ協会の会長(※)が国会議員の為、両極化している
・今元々eスポーツを楽しんできた世代が40代だから、今は過渡期だが、今後親子で楽しめるようになると思っている。

韓国eスポーツ協会(KeSPA)会長・チョンビョンホン氏


(夏野氏)スマホが普及し、親がスマホにはまってきていることもあり、この環境は改善していくと思う。

■eスポーツをプレイする子供に対する親御さんの反応:日本(ウメハラ氏)

・普通はゲームセンター行くのはダメ、家でも長時間のゲームはダメ
・(自分に限っては)やめろと言われたことが無かった。
・ただ、プロゲーマーになる前は親の態度が厳しかった気がする。
・稼げるようになってからは、(親の態度が)かなり優しくなった。


■(夏野氏)日本のeスポーツが一定のステージに達するには「好循環」が起こる必要がある。

 プレイヤーが稼げるようになる
  ↓
 メディアが取り上げる
  ↓
 裾野が広がる
今後、『e-sports SQUARE』を基準に好循環が生まれるのではないかと期待している。




まとめ

 eスポーツが日本で普及するには「メディアの力」や「プロゲーマーの格好良いスター化・アイドル化」、「偏見が無くなること」が重要のようです。
 中国や韓国では正式な体育種目に入れようとする動きがあるなど、日本との環境の違いやeスポーツの地位の高さが伺える内容でした。 ただ日本でも世代的にゲームに明るい30代・40代が増えて行くこともあり環境が改善されて行く、という点は今後のeスポーツにとってとても明るい材料であると感じました。
 今後、『e-sports SQUARE AKIHABARA』を使用した格闘ゲームイベントも容易に想像できることですし、格闘ゲームがさらに盛り上がる方法のひとつとして、eスポーツが良い方向へ向かうということを応援していければと思います。(1/25加筆しました)

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ソース:
e-sports SQUARE AKIHABARA プレス発表会 世界的メジャースポーツ「e-sports」の全貌が明らかに! - 2014/01/24 13:30開始 - ニコニコ生放送
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